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都知事選:自民・国民民主・立憲民主の「組織票」を検証する!

今月20日に告示され過去最多の56人が立候補した東京都知事選挙は、17日間の選挙期間の折り返しを過ぎました。既にいくつかの報道機関の調査にて候補者の優劣は報道されています。

また、あす(28日)には、都議会議員で欠員が生じている9つの選挙区において補欠選挙が告示され、知事選と同日の来月7日に投開票が行われます。

衆議院議員の解散総選挙の時期も取り沙汰される一方、来年夏には、参議院議員選挙そして東京では都議会議員が任期満了を迎え、本選挙も行われます。

きょうの記事では、選挙の度によく報道される「●●党の基礎票・組織票」について参議院比例代表の東京での得票結果を事例に検証していきます。

                    【支持団体については編集部調べ】

まず、各党の「基礎票」と言われている数値です。

厳密に言えば、「その地域において●●党を明確に支持する、党員など」となります。

例えば、「千代田区の自民党の基礎票は千代田区在住の党員党友数」となりますが、各党とも区市町村別に党員などの人数を公表していません。

そこで、各党の「基礎票」にあたる部分については「衆参選挙の比例票」として検証してきます。

主な政党の一昨年(22年)の参議院比例代表選挙での得票数(参院:政党名と個人名得票票数の合計)を東京都計で見ていきますと以下のようになります。

自民党195万9251票、日本維新の会87万3112票、立憲民主党79万4991票

公明党 62万9425票、日本共産党58万9421票、国民民主党41万5903票、れいわ新選組39万8459票、社会民主党18万61票などとなっています。

それぞれの政党が獲得した得票が「各党の基礎票」と位置付けられます。

参議院比例代表選は政党名と個人名の合計ですが、衆議院比例代表選挙は政党名での投票となっていることからとりわけ各報道機関が毎月行う世論調査・政党別の支持率が影響します。

一方、「組織票」と表現される報道もしばし見受けられます。

例えば、「自民党幹部は支持団体を廻り組織固めに・・・」や「立憲民主党と国民民主党を支持する労働団体では組織内から・・・」などの報道です。

この「組織票」を検証するのに良い事例が、参議院比例代表選挙において多くの団体が擁立している「候補者の個人名得票数」です。「いわゆる組織内」と言われている候補者で、その団体が掲げる政策や産業別の課題について取り扱う候補者を指します。その「組織内候補」の得票数が「組織票」と呼ばれています。

【資料1】では、前回(22年)参議院比例代表選挙において、自民党から立候補・擁立されたそれぞれの団体が推薦・応援した候補者の個人名得票数のまとめです。

もっとも多いのは歯科医師会が応援した山田宏氏で、3万939票を獲得しています。山田氏の場合、衆議院議員や杉並区長を経験していますから、歯科医師会だけでなくて位個人票も多いですが、都内全域で3万票余となっています。

次いで、医師会が応援した自見はなこ氏が2万3660票、神道政治連盟の山谷えり子が2万1250票などとなっていて、19の団体で合わせて17万5173票が「東京での自民党支持団体の組織票」とカウントできます。

全国的には郵便局長会の長谷川英晴氏、建設業関係が支援する足立敏之の多くの得票を獲得しています。

【資料2】は、国民民主党を支援する4つの労働組合(産業別組織)が「組織内候補」として支援した4人の得票数です。

UAZ(ゼンセン同盟)は、流通や化学・繊維産業等の会社で働く労働組合員で構成される組織で、1万4157票を獲得した川合孝典氏は帝人の社員・労働組合出身です。

東京では1万4086票を獲得しながら結果として落選した矢田わか子氏は、パナソニックの社員・労働組合出身、同様に竹詰氏は東京電力、浜口氏はトヨタのそれぞれ社員・労働組合の出身です。

4人の個人名得票数の合計4万7357票が、東京での「国民民主党支持の労働組合の組織票」となります。

同様に【資料3】は、立憲民主党を支援する労働組合の「組織内候補」の得票数をまとめました。

自治労(地方公務員)鬼木誠氏、3739票、日教組(学校の教職員)古賀ちかげ氏1737票、柴慎一氏(JP労組:郵便局員など)7555票、石橋通宏氏(情報労連:NTTなど)9570票村田享子氏(基幹労連/JAM:鉄鋼会社や金属加工業など)3903票となっています。

私鉄総連(民間の鉄道やバス会社の労働組合)推薦の辻元清美氏は6万8439票と自民党の組織内候補と比べても際だって多い得票数を獲得していますが、辻元氏の知名度の高さ、社民党時に同僚議員だった保坂展人氏が世田谷区長を務めている関係などから得票数が増えました。

同様に立正佼成会と関係が深い立民・白眞勲氏、自民・藤末健三氏の得票数は、1万6088票、1万710票となっていて、立正佼成会関係の東京の基礎票は2万6798票とみられます。

衆参の選挙ともに選挙区と比例代表の2票制になっていて、1枚目の投票用紙には、その地域・選挙区で立候補者候補者の個人名を書いて投票します。2枚目の投票用紙には衆議院ならば政党名、参議院であれば政党名もしくは個人名で投票します。

選挙区候補者であれば選挙機関中に宣伝カーが走り、ポスターも目にします。

しかし、比例代表選挙の運動はなかなか身近には感じません。その際に、自身が働く職場や身近な人が接している団体から「この人をお願い、この政党に投票して欲しい」等の働きかけを行うのがこうした団体、産業別労働組合、宗教団体等で、いわば、比例代表選挙の中心となっている組織です。

                                以 上

筆者 平木雅己(ひらきまさみ)選挙アナリスト

元NHK社会部記者。選挙報道事務局を長く勤め情勢分析や出口調査導入に尽力。小選挙区制度が導入された初めての衆議院議員選挙報道ではNHK会長賞を受賞。ゼネコン汚職事件、政治資金の不正など政治家が関わる多くの事件・疑惑も取材。

その後、連合(日本労働組合総連合会)事務局にて会長秘書(笹森清氏)として選挙戦略の企画立案・候補者指導を担当、多くの議員の当選に尽力した。 

政策担当秘書資格取得後、法務大臣/自民党幹事長代理はじめ外務大臣政務官、衆参国会議員政策秘書として、外交・安全保障、都市計画、防災、司法、治安、雇用・消費者、地方自治などの委員会や本会議質問を作成、政策立案に携わる。

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