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江尻隆弁護士が元部下の美人弁護士から婚約不履行で訴えられている事件、被告江尻氏側から第3回準備書面が提出される

元部下の女性弁護士から損害賠償請求を受けている江尻隆弁護士

江尻隆弁護士が、元部下だった美人弁護士から婚約不履行で訴えられている事件で、被告江尻氏側から第3回準備書面が提出されましたので、全文を掲載します。

平成26年(ワ)第9289号

原告 森順子

被告 江尻隆

準備書面(3)

平成27年4月13日

東京地方裁判所民事第30部ろA係 御中

被告訴訟代理人 弁護士 鯉沼希朱

第一 和解の効力

1 はじめに

本訴において、被告は、原告と被告は、平成24年7月26日、被告から原告に1700万円支払うことによって、両者間の一切の関係を清算してその後原告は被告に対して何ら請求をしないという和解契約が成立したと主張しているところ、原告は、1700万円を受領していることは認めながらその余の請求権を放棄する意思表示はしていないなどとして、和解契約の成立を否定する。

しかし、仮に和解契約が成立したのであれば、和解前に(当事者が互譲によって争いを辞める前に)、真実は、原告に被告に対する何らかの請求権が存在したのか・存在したとすればいくらなのか等を確定することは無意味であるばかりか、和解契約の趣旨に反するものであって、許されない【1】。

【1】例えば紛争になる面倒を避けるために、あるいは相手が金銭的に困っているので、一定の金銭を支払い、今後の一切の係わりを絶つ目的の和解もある。和解は、当時者の「互譲」によって成立するものであるから、それぞれの当事者で争いの対象(請求権の存否や額その他)についての認識が一致していることはないのが通常である。しかし、和解は、それがどうであれ、たとえ請求権が全く存在しなくても、争いをやめるということを目的にしてなされる契約なのである。(民法695条「和解は、当事者が互いに譲歩してその間に存する争いをやめることを約すことによって、その効力を生じる。」)

従って、本訴において、まず確定されるべきは和解契約の成立の有無であり、和解契約が成立していない場合にのみ、原告の被告に対する請求権の有無を判断すれば足りるものである。

以下敷衍(ふえん)する。

2 和解契約の目的と本質

和解は、法律関係について争いをする当事者が、互いに法律上や事実上の主張を譲歩して争いをやめることを目的とする契約であって、「争いをやめる」という紛争最終解決ないし紛争確定がその本質であり、当事者は、その後、従前の法律関係を主張できない。これを主張できることとすると、和解の意味はなにもないこととなる(以上、乙21~23参照)。

ところで、和解が裁判上なされたものであれば、その後それを蒸し返すような原告の主張及び請求は、当該紛争が解決されたとの相手方の合理的期待に反し、当該相手方に二重の応訴の負担を強いる結果となり、権利の濫用又は信義則に反して許されないものとされ、当該原告の主張の当否を新たに判断することなく却下又は棄却の判決が下される。また、裁判上の和解が仮に無効である場合でも、裁判上の和解の紛争確定力を無意味なものとしないため、当該和解が無効であることを前提として実体上の請求をそのまま別訴ですることも許されず、紛争手段としては和解無効確認の訴えを提起する等の方法をとらなければならない(以上、乙24~26)。

他方、民法上の裁判外の和解について、紛争確定効に反して従前の主張が繰り返され訴訟提起されたときに、訴訟上どのように扱うべきかについて明文の規定はない。しかし、和解の本質が紛争確定効にあり、実体がどうであれその後和解において定めた内容に反する主張ができないということを目的とする契約であること、従前の主張についてその真偽を確定すること(争いを再熱させること)そのものが和解をした相手方当事者の合理的期待に反すること、相手方に対して係争による二重の負担を強いる結果になること、これは紛争の蒸し返しであって権利の濫用又は信義則に反するものといえることは、裁判上の和解の場合と何ら変わることはない。そのため、裁判所は、原告からの請求に関し民法上の和解が成立しているかどうか(無効であるかどうかも含む)に争いがある場合には、和解が有効に成立していることが認められる以上は、(和解成立していないことを前提とした)原告の主張に踏み込むことなく、原告の主張を排斥するという態度をとっている(乙27~32等。*)。

*東京地判平成10年10月30日(乙31)

原告が、パワハラを理由とした損害賠償請求をしたところ、退職に関して和解契約が成立していたことを認定したうえで、

「以上の次第であるから、争点2(被告の不法行為の有無)について判断するまでもなく、原告の請求は理由がない」とする。

東京地判平成23年1月19日(乙32)

争点を以下のとおり確定したうえで、和解契約が有効に成立したことを認定し、原告の請求を棄却した。

「本件において、被告は、原告主張の請求原因事実について認否を留保した上で、別件和解における清算条項によって債務消滅の効果が生じているから、被告は原告に対し何ら債務を負うものではないと主張し、原告は、上記債務消滅の効果を争っている。したがって、本件の争点は、別件和解の清算条項の効力が、本訴における各請求債権に及ぶか否かである」

「以上によれば、原告の被告に対する本訴各請求は、その余の点について検討するまでもなく理由がないから、いずれも棄却する・・・」

3 まとめ

和解契約の目的と本質が上述のとおりである以上、本件の経緯及び本訴での当事者の主張に照らして、本訴において、まず問題にされるべきは、原告と被告との間で、被告主張の和解契約が成立したかどうかであり、それが有効に成立していることが認められる以上は、原告が「請求原因事実」とする主張(*請求原因事実として意味不明であるばかりか被告への人格攻撃に満ちている)を審理すべきではない。

上述したとおり、原告と被告との間で和解契約が成立しているにもかかわらず、それに反する主張を行うことは和解契約の目的及び本質に真っ向から反するのであり、信義則に反するものである。そして更に、本訴において、原告が、訴状で何ら1700万円受領の事実に触れず【2】、1700万円もの金員を受領しながら和解契約が成立していないことについて何ら納得しうる主張をせず【3】、その提出する準備書面において、虚偽の事実主張【4】と被告に対する人格非難を繰り返していることからすると、原告において、和解が成立しておらず損害賠償請求権があると真に信じているため本訴提起しているとは到底思えず、和解契約に反して被告に応訴の負担や精神的負担を生じさせることによって不当な利益を得ようとする意図であるとしか思えず、信義則に反する程度が著しい【5】。

【2】原告は、1700万円は本訴で請求している原告の損害として支払われたものであることを認めているにもかかわらず(原告準備書面(4))、また本訴に先立つ調停でも被告からこの点を強く指摘されていたにも関わらず、これについては何ら言及するところがない。

【3】原告が和解契約が成立していない理由とするのは、単に請求権放棄の意思表示はしていないということにあるようである。

【4】これまでの被告の主張と被告提出の証拠により、原告が虚偽に満ちた主張をしていることは明らかである。

【5】本訴提起は不法行為にあたりうるし、訴訟外で請求するのであれば刑事責任も生じかねないような行為と思われる。

かような原告の行為に沿って、本来は紛争確定している原告の請求に関し、これ以上、被告に無用な応訴の負担を与えることは正義と衡平(こうへい)に反するものであり、民事訴訟の目的そのものに反するものである。

第2 和解契約が成立していること

被告が、被告代理人を通じて、原告との間で、両者間の一切の関係を清算しその後原告は被告に対して何らの請求をしないという和解契約を成立させたことは、被告準備書面(1)で主張したとおりであり、また書証としても乙14~乙18で十分と思えるが、あらたに乙33~37も提出する。これらは、乙35を除き、本訴に先立つ調停において被告から提出した証拠であり、原告はこれらを受領し被告の主張等について十分理解したうえで本訴提起しているものである(今回提出した乙37の陳述書では、調停時の証拠番号が引用されているため、被告は、同様の内容で堀内弁護士の陳述書をあらためて作成し、証拠提出する予定である)。

なお、乙35は、和解成立前の平成24年7月25日に原告が堀内弁護士に交付した書面であり、「本書は今後の訴訟・調停等において、証拠・資料として使用しないこと」などという制限が付されており、この制限の意味も不明であるが、被告としては調停ではあえて同資料について証拠提出しなかった。しかし、その後和解契約が成立したにもかかわらず、原告が本訴提起・追行するため、本訴において証拠提出するものである。

第3 原告準備書面(4)について

1 はじめに

上記で述べたように、本件請求に関しては和解が成立しており、請求原因事実の存否を審理する必要は、本来的には存在しない。但し、本件における原告の主張は、これまで指摘したとおりそれ自体不合理であっておよそ真実でありうるはずがないものであるか、又は被告が提出した資料(書証)に明らかに矛盾するものであって虚偽であることが明らかである。念のため、原告準備書面(4)での原告の主張を前提としてそれらの点を再度指摘する。

2 原告の事実関係の主張は全て根拠がない

本件の事実関係の根幹は、原告と被告の間に結婚の約束があったか(訴状第2の1乃至6、8、9、13、14)(「婚約不履行関連」)と、それ以外に訴状で記載された旅行負担代金(同7)、外債発行案件でのミス(同10及び11)及び退職強要(同12)(「その他請求」と総称する)であるが、原告は度重なる要求に対してもその他請求が婚約不履行関係とは独立した請求なのか、その他請求は婚約不履行関連を裏付けるための補足なのかを明確にしていない。婚約不履行関連の主張についてはそもそも弁護士である原告が20年も騙されたとの主張には全く合理性がない上、原告は、乙35で被告との間で被告の離婚や結婚の話が出たことはないことを明確に自認しているので【6】、根拠がない虚偽の主張である。

【6】乙35の1枚目の上から1つ目の☆では、被告が原告に対して、自らの離婚について話したこともなければ被告が原告と結婚するなどということを話したこともないことが述べられている。また2枚目の上から3つ目の☆によれば、原告が本訴で被告から原告に結婚の申し込みがあった旨主張していると思われる場面において、何ら被告から原告への結婚の申し入みなどなかったことが明らかである。

3 その他請求への反論

仮にその他請求が婚約不履行関連とは独立した主張であれば、原告は、訴状第3の損害及び慰謝料でその内訳を示すべきである。原告も弁護士である以上、どんぶり勘定の請求は許されず、主張自体が失当である。更に原告は、乙35でマンションなどの費用【7】も、原告が自発的に支出したことを認めているので、被告が同意しない限り、請求の根拠はない。しかし原告は、故意でか、理解できないのか不明であるが、本訴訟が始まってから1年近く明確にすることを怠ってきたので、被告は、被告準備書面(2)でその他請求が独立した主張であるとの仮定で1つ、1つ丁寧に反論した。しかし原告は、原告準備書面(4)で被告の主張に対して、相も変わらずここの損害額は明らかにしないまま、とってつけた虚偽の言い訳を縷々(るる)と述べるだけである。被告は、このような虚偽の主張は全体として否認し、無駄な議論はしない。

【7】乙35では、原告が、被告に関係あると主張する「経済的損失」に二世帯住宅にかかる費用は入っていない。すなわち、原告の独自の見解によっても、二世帯住宅にかかる費用が被告に関係する要素は微塵もなかったことが明らかであり、これは本訴提起にあたって、請求額を膨らませるために蒸したものであること明白である。

4 退職強要について

ただ1点退職強要(訴状第2の同12)について反論すると、原告は、原告準備書面(4)の第1の2(4)で、退職にあたって鳥海弁護士と三好弁護士と「個人事件」(同書9頁上から4行目)の報酬精算について協議して合意した金額を本件事務所に支払っているとして、売上隠蔽の事実は認めているが、解決済みとの主張をしている。しかし、本件事務所は、収支一体型のパートナーシップであり、「個人事件」は制度上ありえなかった【8】。本件事務所は、所属パートナー弁護士が弁護士報酬の全てを事務所売上に計上し【9】、後日費用確定の上、利益を精算する制度で、パートナー相互の信頼関係でなりたっていた事務所であった。そのような制度では経理上のごまかしは他のパートナーに対する裏切りであり、乙20の1でも自発的な退職、本来除名、刑事告発ものなどの厳しい意見が出た。鳥海弁護士は、本件事務所の当時のマネージング・パートナーであり、被告は、鳥海弁護士より、同弁護士がした調査の結果、原告が売上隠蔽を認め、責任をとって自発的に退所することとなったと告げられたのである。原告が本件事務所の退所に至ったのは自ら招いた結果であり、被告の強要によるとはなんら言えない。付言すれば、原告は、いつでもパートナー会議に出席できたのであり、実際、パートナー会議では本人をよんで説明させるべきとの意見もあったが、原告がパートナー会議への出席を拒否したのである。原告が、本訴においてこの点の説明は全て証拠に反し、虚偽であり、事実は、その当時作成された議事録(乙20)のとおりであり(マネージング・パートナーの報告どおり)、公文書偽造や横領等にも問議されるものであったことは明確である(被告準備書面(1)10頁参照)。

【8】「個人事件である」(事務所に売上計上しないで個人的に報酬を受領する事件)という旨の言い訳が通用しないことは勿論であって、原告が当時そのような言い訳をしていたものではないが、本訴で原告は、自ら得た弁護士報酬を誤魔化して事務所へ売上の全部を計上せず過小としたのは、「個人事件となるから」という言い訳をしているようである。

【9】全額が事務所売上になるべきものであるところ、原告の誤魔化しにより事務所売上ひいては他のパートナー弁護士の売上金額が本来あるべき金額より少なくなってしまっていたため、問題が発覚した時点で、他のパートナーが既に行ってしまった税務申告をどうするのか対応策も問題となった。

以上

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